乳がん術後の再発予防としてホルモン治療があります.閉経後においては,アロマターゼ阻害剤(アロマシン,フェマーラ,アリミデックス)が効果的で術後約5年間の内服が必要となりますが,その副作用として骨粗しょう症が起こることがあります.一方,この骨粗しょう症の治療薬として,最近「プラリア」が発売され,みのかも西クリニックでも適応のある患者さんに積極的に投与を行っています.


実は,私は「プラリア」は夢の薬と思っています.骨粗しょう症に効果的であるだけでなく,実験段階ですが乳がんの骨転移を防ぐ可能性もあるからです.まさに一挙両得! 副作用は一時的なカルシウム不足が主なものですが,十分予防できます.
最近の医学の進歩には目を見張るものが沢山あり,特に分子標的薬と言われる次世代の抗がん剤は,10年前の医療レベルからは想像もつかない程の効果を持ち,かつ,副作用も少ないものです.素晴らしいの一言です.外科 藤井
血栓性外痔核は痛い痔の代表格です.図の様に肛門の外側の皮膚の部分を中心とした痔で,長時間座っていた後や重労働の後に急にできてしまい,ズキンズキンとした痛みと出血を伴うものです.

「昨日からお尻が痛くて出血する」という症状で,みのかも西クリニック外科に受診される方が時々いらっしゃいます.外来では,まず飛び出た痔を麻酔薬を含んだゼリーを使いながら指で押し戻しますが,これにより痛みが少しずつ楽になります.後は,坐薬や痛みどめなどをご自宅へ持ち持ち帰っていただき,2週間程度で再診察となります.この再診察の時に,手術が必要か否かを判断することが多いのですが,繰り返して同じところが腫れることも多いので,手術が必要になる可能性は大きいです.また,1週間程度で痛みが引いてきたら,お風呂などでしっかり温めると飛び出した痔の部分の腫れが早く引きます.外科 藤井
みのかも西クリニックでは、痔の日帰り手術を積極的に行っていますが、初診の際の診察の際の手順をまとめてみました。
まず痔の症状を教えて頂き、本当に痔であるか、または肛門周囲の皮膚症状であるかを判断します。
次に診察台に上がって、前述の脊椎麻酔と同様の左下に寝て膝を抱えた体位となります。
肛門の診察は、痔の程度を肛門内に指を入れて触診します。
最後に写真の肛門鏡を肛門内に挿入して痔を直接観察します。

肛門鏡の直径は1.5㎝程度で普通の便の太さより細いもので、触診を含め、麻酔薬を含んだ医療用ゼリーをたっぷりつけて痛みが出来るだけ少ないようにします。
同時に、お尻はタオルでおおい、看護師の立ち合いのもと診察を行います。
痔の診療は、普段の風邪などでの診察とは違う点が多く、患者さんからは「こわい」「はずかしい」というお言葉を頂きますが、出来るだけそれらに気を付けて診療を行うことを、みのかも西クリニックの方針としています。
外科 藤井
過日、大学(愛知医大)の乳がん患者会で1時間程度の講演を行いました。
参加された方は、愛知医大で乳がんの手術を受けられ外来通院中の患者さんで、普段は化学療法中に使うタオル帽子を作ったり、集まって悩みを語り合ったりされているグループです。
講演は,BRCA1/2などの遺伝子異常に伴う乳がんの事や、普段の生活と乳がんとの関係について話しましたが、患者の皆様はよく勉強されているようで、聞きなれた話題が多くなってしまいました。
私が思ったことは、患者さんにとって、乳がんの告知は青天の霹靂のような出来事で、最初は「なぜ私が乳がんになってしまうのか...」という納得がいかない気持ちが起こりますが、今は、それを乗り越え、再発を起こさないために治療を続け、一生懸命に生きる強い心を持っているということでした。
がんの治療は、患者さんから教えて頂くことが本当に多いと痛感しました。
外科 藤井

みのかも西クリニックでは、日帰りでの痔の手術を行っていますが、その際に行う腰椎麻酔について説明致します。
直径0.5mmの非常に細い針を用いて行いますので、痛みや合併症は非常に少なくなっていますが、それより実際の麻酔処置の際の体位が、この腰椎麻酔を安全に行うための最も重要なポイントと考えられます。
麻酔用の針(0.5mm)を腰椎の間に穿刺し、くも膜下腔という脊椎神経のすぐ近くの領域に、マーカイン(麻酔薬)を0.2ml注入します。
その際は,この絵のように左下に寝て,膝を抱えて頂きます。

麻酔薬が入ったら、今度は3~5分,足を下げて普通に座り、麻酔薬がお尻の方に流れ落ち肛門周囲の神経にだけ効くようにします。
狭い手術台の上で膝を抱えた体位をとるのは緊張しますが、ご協力をお願い申し上げます。
外科 藤井