雄一郎院長の日記

もの忘れと認知症の違いについて

私は老年内科の医師として、数多くの高齢者と接する機会がありました。医師として接しているので、健康上の不安があって私のところを訪れる方々とお会いしたわけです。
そういった経験をご評価くださり、加齢に伴う健康上の問題について、病院に来た方ではない市民の皆様の前でもお話することもしばしばあります。
よくお話させていただく内容として「認知症」についての様々な疑問に対するお話があります。「認知症の正しい理解」と題して講演をさせていただくのです。
認知症はその病態の多様さから、なかなか簡単に説明できる病気ではありません。私は一つの切り口として、認知症の説明にその診断基準を使います。
診断基準なんて言葉自体が難解な印象を与えますが、この基準のなかに、「通常の社会生活が困難になっている」という一文があるのです。
認知症というと、もの忘れがあったり、あるいは徘徊したり暴言を吐いたりといった行動障害などの存在を、テレビや新聞などでみたり聞いたりすることが多いのが現実です。もちろんこれら症状は重要な症状で、これらの変化を周りの人たちが感じて認知症の診断につながるわけです。
そしてその診断の際には、私はかならず問診のなかでその患者さんの生活障害の実際を聞き取ることに意識を傾けます。そして問診の中からその人の生活における障害を探し出します。
もの忘れがあっても、生活に支障なければ、認知症という診断はできるだけしないようにしています。認知症の診断をしないからといって、異常なしとして放っておくわけではありませんが、違う病名をつけることが多いです。
認知症の診断には、その方の生活障害の有無が非常に重要なのです。
ということは、診察の際問診で時間がかかることになります。ですから、初診の際に混んでいれば、別の日に予約をとって聞き取りや問診の時間を確保します。そういったお手間をお許しください。

MRIなどの写真をみて、「あなたは認知症です」と瞬時に診断できるスーパーな医者ではないことを重ねてお詫びします。

生活に障害がなくても、ただのもの忘れでは済まされないものがあります。こういう病気があるので、やはり慎重に判断しなくてはいけないのが、もの忘れなのです。
当クリニックでは問診を重視した認知症診断を心がけております。
気になっている方はご相談ください。
ただし、瞬時に診断できませんが……。

みのかも西クリニック
院長
益田雄一郎